最近はスマホカメラの画質が上がっていますよね。
写真を撮るのにスマホだけで十分じゃないの?
ミラーレス一眼カメラが気になるけどスマホカメラと比べてどう違うの?
と考える方も多いのではないでしょうか。
スマホのカメラとミラーレス一眼の大きな違いはセンサーサイズの大きさです。
センサーサイズが大きいほど画質がよく、ボケやすくなります。
果たしてセンサーサイズの大きさの違いが、実際の写りでどれくらい違うのか検証していきます。
写りの面以外でもスマホとミラーレス一眼は、どちらも一長一短があり、使いどころによって向き不向きがあると感じています。
この記事では、スマホカメラとミラーレス一眼カメラの違いを徹底的に比較して、どのように使い分けるといいのかご紹介します。
それでは、カメラ歴15年、フォトマスター1級のしちみがお送りします。
関連記事:【iPhone 14 Pro/Pro Max】カメラ性能徹底レビュー!作例で解説
1.スマホカメラとミラーレス一眼の違いを比較
スマホカメラ(iPhone 14 pro)、APSCミラーレス一眼(ソニーZV-E10)、フルサイズミラーレス一眼(ソニーα7IV)の3つのカメラで、次の5項目を比較してみます。
比較する5項目
- 画角
- 画質(解像度/暗所ノイズ/ボケ)
- マクロ撮影
- 手振れ補正(静止画/動画)
- 操作性
それでは、結果を見ていきましょう。
画角
まず画角についてです。
焦点距離が短いと、画角は大きくなります。つまり、写真に納まる範囲が広くなります。
焦点距離が長いと、画角は小さくなります。つまり、写真に納まる範囲が狭くなります。
画角について詳しくは焦点距離と画角の記事で説明しています。
スマホカメラは最初から備わっているカメラだけで撮影するため、画角が限定されます。一方、ミラーレス一眼はレンズ交換できるのが特徴のひとつです。レンズを交換することで幅広い画角で撮ることができます。
スマホ | APSCミラーレス | フルサイズミラーレス | |
iPhone 14 pro | ZV-E10 | α7IV | |
画角 | 13mm~77mm | 15mm~900mm | 12mm~600mm |
画角に関してはミラーレス一眼に軍配が上がります。
広角端(広く撮れる方)はほとんど変わりませんが、望遠端(遠くを撮る方)は大きな違いがあります。
例えば13mm/77mm/600mm/900mmではこれほど違います。
iPhoneでは13mm~77mmまでしか撮れませんが、ミラーレス一眼なら600mmや900mmまで拡大して撮ることができます。
画質(解像度/暗所ノイズ/ボケ)
次に画質を見ていきます。
画質は、解像度/暗所ノイズ/ボケの3つを見ていきます。
スマホ | APSCミラーレス | フルサイズミラーレス | |
iPhone 14 pro | ZV-E10 | α7IV | |
画質 |
解像度
同じ画角フルサイズ換算24mmで撮った画像から中央を拡大して解像度を比較します。
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro
▼APSCミラーレス一眼 ZV-E10
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV
拡大するとやはり、ミラーレス一眼のほうが解像度が高く見えます。
しかし、iPhoneも貢献しており、ここまで拡大しなければ解像度の違いはほとんど分からないでしょう。
暗所ノイズ
暗所ノイズは暗いシーンで白い被写体を撮るときに目立つ、ざらざらとしたノイズのことです。
水族館の中で白い看板を撮ったシーンを拡大してみます。
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro
▼APSCミラーレス一眼 ZV-E10
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV
こちらもいい勝負ですが、α7IV>iPhone>ZV-E10の順番に見えます。
フルサイズミラーレスのα7IVは字もしっかり見えて、さすがのフルサイズです。
iPhoneもノイズ処理が上手で、センサーが小さい割にノイズは少ないです。
ボケ
ボケに関しては、センサーサイズの差が顕著に出ました。
ボケの大きさや品質を見るため、同じ画角・同じF値(フルサイズ換算24mm F1.8)で撮った時の玉ボケと背景ボケの2種類の写真で比べてみましょう。
玉ボケ:後ろの街灯の光のボケ具合を確認
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro
▼APSCミラーレス一眼 ZV-E10
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV
背景ボケ:後ろの花やビルのボケ具合を確認
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro
▼APSCミラーレス一眼 ZV-E10
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV
やはりiPhoneの小さなセンサーではぼけにくく、フルサイズミラーレスの大きなセンサーでは大きくきれいにボケています。
印象的な写真が撮りたければ、フルサイズミラーレス一眼に軍配が上がります。
マクロ撮影
マクロ(近接)撮影能力を見ていきます。
ミラーレス一眼には、等倍撮影できるマクロレンズを付けて撮ってみました。
スマホ | APSCミラーレス | フルサイズミラーレス | |
iPhone 14 pro | ZV-E10 | α7IV | |
マクロ撮影 |
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro
▼APSCミラーレス一眼 ZV-E10
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV
単純に被写体の大きさだけで言えば、ZV-E10が一番大きく撮れました。
ただ、ボケ具合まで含めるとフルサイズのα7IVがより印象的なマクロ写真が撮れています。
iPhoneもかなり大きく撮影できていますがボケは少ないようです。
手振れ補正(静止画/動画)
手振れ補正は、意外にも?iPhone14Proに軍配があがりました。
スマホ | APSCミラーレス | フルサイズミラーレス | |
iPhone 14 pro | ZV-E10 | α7IV | |
手振れ補正 |
手振れ補正に関しては静止画と動画それぞれで見ていきます。
静止画
静止画の手振れのしやすさは、SS(シャッタースピード)に依存します。
一般的に、SSが【1/焦点距離】までであれば手ブレせず撮れると言われています。
例)
広角13mm →SS1/13 まで
標準50mm →SS1/50 まで
望遠200mm → SS1/200まで
このように、広角の方が長いSSまで耐えられるため手振れしにくく、望遠の方が短いSSまでしか耐えられないため手振れしやすいと言われています。
iPhoneは撮影時の設定を変えられないので、自分でSSを決めることができません。
しかし、撮れた写真を見返してみると、先ほどの手振れ補正しないSSまでに抑えられているようです。
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro
24mmの画角でSS 1/25までに抑えられている
一方、ミラーレスカメラでは自分でSSを設定することができるので、手振れを抑える設定で撮ることができます。
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV
体感的にも静止画の手振れ補正の性能は、スマホ(iPhone 14 Pro)もミラーレス一眼も同じくらいに感じます。
iPhone 14 Proがノイズに強く、SSを抑えやすいというのもあるかもしれません。
動画
最新スマホのiPhone 14 Proには通常の動画モードに加えて、アクションモードという手振れ補正の効き具合を高めたモードが搭載されています。
一方、ミラーレス一眼のZV-E10やα7IVにも歩き撮りに適したアクションモードというモードがあります。
iPhone 14 Proとα7IVで、歩き撮りと全力疾走でどれくらいブレを抑えられるのか比較してみます。
歩き撮り
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro 通常モード(画角29mm相当)
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV アクティブモード(画角28mm相当)
全力疾走
▼スマホカメラ iPhone 14 Pro アクションモード(画角125mm相当)
▼フルサイズミラーレス一眼 α7IV アクティブモード(画角28mm相当)
歩き撮りに関しては、iPhoneもα7IVも手振れがよく抑えられています。
一方、全力疾走ではiPhoneの圧勝です。
iPhone 14 Proのアクションモードのすごさが分かりました。
関連記事:iPhone 14 Proのアクションモードを検証
関連記事:ソニーZV-E10の手振れ補正アクティブモードを検証
関連記事:ソニーα7IVの手振れ補正アクティブモードを検証
操作性
撮影時の操作性に関しても見ていきます。
スマホ | APSCミラーレス | フルサイズミラーレス | |
iPhone 14 pro | ZV-E10 | α7IV | |
操作性 |
スマホカメラ(iPhone 14 Pro)
スマホカメラ(iPhone14Pro)の操作性のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
・小さく軽いため持ち運びやすい ・いつでも撮影できる ・画面が大きくてきれい | ・タッチパネルはとっさに操作がしづらい・誤操作が多い ・持ちにくく構えづらい・落としやすい ・特に超広角レンズを使うと指が写りこみやすい ・オートフォーカスが合わせにくい ・シャッターボタンが押しづらい・ブレ易い ・画面が動かないため、ローアングル、ハイアングル撮影がしにくい |
ミラーレス一眼(ZV-E10/α7IV)
ミラーレス一眼(ZV-E10/α7IV)の操作性のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
・しっかりグリップできて構えた時に安定する ・操作ボタンが多く、直感的に設定を変えられる ・シャッターボタンが押しやすく、押したことでブレにくい ・オートフォーカスが合わせやすい ・バリアングル液晶で画面を傾けることができるためローアングル・ハイアングル撮影がしやすい ・(α7IVは)ファインダーがあるため日中でも撮影しやすい | ・(スマホに比べると)大きく重い ・カバンに入れて持ち運ぶとかさばる ・シャッターチャンスを逃さないためには常に首から下げておく必要がある ・(スマホに比べると)画面が小さい |
やはり撮影の操作性に関しては専用のミラーレス一眼カメラに多くのメリットがあります。
スマホは常に持ち歩いて気軽に撮る用途に、ミラーレス一眼カメラはしっかり撮影を楽しむ用途に向いています。
比較まとめ
ここまでの比較結果をまとめます。
スマホ | APSCミラーレス | フルサイズミラーレス | |
iPhone 14 pro | ZV-E10 | α7IV | |
画角 | |||
画質 | |||
マクロ | |||
手振れ 補正 | |||
操作性 |
画質や手振れ補正性能はスマホカメラも性能が上がっており、これまで撮れなかった撮影ができるようになってきています。
一方、画角や操作性に関しては、まだまだミラーレス一眼カメラに軍配が上がるようです。
スマホカメラとミラーレス一眼の違いをよく理解しシーンに応じて使い分けるといいでしょう。
次の項目でどんなシーンで使えばいいのか、使い分け方をお伝えします。
2.スマホカメラとミラーレス一眼の使い分け方
ここでは、スマホカメラとミラーレス一眼の向いている撮影シーンや使い分け方をお伝えします。
スマホカメラの向いている撮影シーン
- 日々の出来事を収める
- ちょっとした日常のお出かけ
- 食事や料理の撮影
- 走り回る子供を追いかけて動画撮影
ひとことで言うと、スマホカメラは気軽に撮るのに向いています。
ミラーレス一眼の向いている撮影シーン
- しっかり思い出に残したい旅行
- 運動会や発表会など子供のイベント
- 結婚式、お宮参り、七五三など晴れの日のイベント
- 花や動物、野鳥、飛行機など撮りたいものが決まっている撮影
- 作品として仕上げたい写真や動画の撮影
ミラーレス一眼カメラはじっくり撮るのに適しています。特に暗いシーンや動きものを撮るシーン、遠く離れたものを撮るときはミラーレス一眼カメラが最適です。
3.まとめ
この記事では、
- スマホカメラとミラーレス一眼の違い
- スマホカメラとミラーレス一眼の使い分け方
をお伝えしました。
今回比べてみたiPhone 14 Proのように、最近のスマホカメラの進化は著しいです。普段はスマホカメラだけで十分対応できることも多くなってきています。
とはいえ、少し前のスマホカメラなどでは、まだまだきれいに撮れないシーンが多いのも事実。
そして、今回比較してみて改めて分かったのは、ミラーレス一眼カメラの使いやすさと表現の幅の広さです。
自分なりにこだわって撮影したい、時間をかけてじっくり撮影したい人にはミラーレス一眼カメラがおすすめです。
スマホカメラから一歩踏み出してみたいという方に向けて、こちらの記事で10万円で買えるおすすめのミラーレス一眼をご紹介しています。
スマホカメラもミラーレス一眼もどちらも適した場面がありますので、うまく使い分けて撮影を楽しんでいきたいですね。