現在最もポピュラーなメモリーカードはSDカードです。容量や速度の違いでさまざまな種類があり、値段も安いものから高いものまでピンキリです。
この記事では、実際に5種類のSDカードを用いてα7IVで速度の違いを検証しました。検証結果を踏まえたおすすめのSDカードを使えば、高画素高機能なミラーレスカメラの性能を最大限に活かした撮影体験ができます。
先に結論です。
この2点をおすすめするにいたった、「SDカードの規格」「スピードの違い」について、実際にα7IVで検証した結果をもとに、わかりやすく説明します。
それでは、カメラ歴15年、フォトマスター1級のしちみがお送りします。
1.SDカードの規格|α7IVなどミラーレスカメラに最適な選び方
SDカードの規格は、大きく分けて3つの項目で規定されています。
- サイズ
- カード容量
- スピード
SDカードのパッケージには、「カード容量」と「スピード」の2つの仕様が記載されています。
1例を上げると、下記のように青字が「カード容量」に関する仕様、赤字が「スピード」に関する仕様です。
それぞれの仕様の詳細を解説します。
最適なサイズの選び方
SDカードは、サイズによって次の3種類があります。
現在、主に流通しているのはSDとmicro SDの2種類です。miniSDはほとんど使われていません。
ミラーレスカメラの場合はほとんどがSDタイプです。スマホやGoproなど小型の機器ではmicroSDが使われることが多いです。
特に根拠があるわけではないのですが、個人的には強度や信頼性の面でSDタイプをおすすめします。microSDはアダプタでSDタイプに変換できるので、スマホ等との併用を考えている人はmicroSDを選んでもよいでしょう。
最適なカード容量の選び方
SDカードには、カード容量によって次の3種類があります。
タイプ名 | 記憶容量 | 対応機器 | |
SD | 2GBまで | SD/SDHC/SDXC 対応機器で使用可 | |
SDHC | 4~32GB | SDHC/SDXC 対応機器で使用可 | |
SDXC | 64GB~2TB | SDXC 対応機器で使用可 |
SDカードを購入する際は、まずお使いのカメラがどのタイプに対応しているかを確認します。最近のカメラは、ほぼすべて最大容量タイプのSDXCに対応しています。
容量は、64GB以上がおすすめです。
理由が2つあります。
それならできるだけ容量が多い物をと思いがちですが、実は容量が大きいものにもデメリットがあります。
個人的には、破損のリスクに備えてこまめにデータ転送しておきたいので、そこまで大容量のものは不要と考えています
なお一例として、ソニーα7IVで64GBのカードで撮れる量は、次の通りです。
- 最高画質のJPEG:2530枚
- 最高画質のJPEG+圧縮RAW:947枚
- XAVC S HD動画(60p 4:2:2 10bit 200M):2時間20分
- XAVC S 4K動画(60p 4:2:2 10bit 200M):38分
普通に撮る分には、64GBで十分足りそうですね
もちろん、4K動画の長時間録画をするような方は、128GB、256GBをおすすめします。
でも、画像メインなのであれば、256GBを1枚持つより、64GBを4枚持っておくほうをおすすめします。
最適なスピードの選び方
SDカードのスピードに関しては、歴史上いくつかの規格が段階的に規定されたので、複数の指標があり少し分かりにくくなっています。
まず、大きくわけて2つの通信規格(UHS規格)があります。
UHS-I:中低速の通信規格 最大104MB/秒
UHS-II:高速の通信規格 最大312MB/秒
UHS-IIはUHS-Iの端子にさらに端子が増設されているため、UHS-II対応機器でしか実力を発揮できません。スピードを最大限生かすには、UHS-II対応機器とUHS-II SDカードの組み合わせで使用しましょう。
次に最低保証速度と各規格の対応を表にまとめました。
あまり連写をしない写真メインの使い方ならV10以上、連写をしたり動画も撮るならV30以上をおすすめします。
2.ソニーのミラーレスカメラα7IVでSDカードの速度の違いを検証
実際にSDカードの速度の違いはどれくらいなのか、以下5種類のカードとソニーのミラーレスカメラα7IVを使って、連写時の書き込み速度と動画での使用可否を検証しました。
使用した各SDカードそれぞれの前提スペックは次のとおりです。
メーカー | ブランド | タイプ | UHS規格 | 最大読込速度 | 最大書込速度 | スピード クラス | UHSスピードクラス | ビデオスピードクラス | 容量 | |||||
SONY | Gシリーズ | SDXC | UHS-Ⅱ | 300MB/s | 299MB/s | class10 | 3 | 不明(V30相当) | 64GB | |||||
SanDisk | Extreme | SDXC | UHS-Ⅰ | 150MB/s | 60MB/s | class10 | 3 | V30 | 64GB | |||||
Kingston | CANVAS Go! Plus | SDXC | UHS-Ⅰ | 170MB/s | 70MB/s | class10 | 3 | V30 | 64GB | |||||
Team | ELITE | SDXC | UHS-Ⅰ | 95MB/s | 45MB/s | class10 | 3 | V30 | 64GB | |||||
Lexar | なし | SDHC | 不明 | 不明 | 不明 | class10 | 3 | 不明(V10相当) | 8GB |
使用したミラーレスカメラはソニーα7IVです。
≫ソニーα7IVってこんなカメラ(長期使用レビュー))
連写書き込み速度
まず、ソニーのミラーレスカメラα7IVで、「静止画連写時」の書き込みスピードを検証します。
■検証条件
①JPEG連写 | JPEG画質:エクストラファイン 画像サイズ:L 33M 1画像のサイズ:約17MB 連写モード:H+(最高10fps) |
②JPEG+RAW連写 | JPEG画質:エクストラファイン RAW方式:圧縮RAW 画像サイズ:L 33M 1画像のサイズ:JPEG約17MB+RAW約33MB 連写モード:H+(最高10fps) |
■検証方法
2つの時間を計測します。
- 連写時間:シャッターボタンを押し続け連写し、カメラ内のバッファがいっぱいになったときのタイム
- 書き込み時間:上記でバッファがいいっぱいになった時点から、ボタンを離しメモリーカードに書き込みが完了するまでのタイム
■結果
SDカード | ①JPEG | ②JPEG+RAW | |||||||
メーカー | ブランド | タイプ | 最大読込速度 | 最大書込速度 | 容量 | 連写時間 | 書込時間 | 連写時間 | 書込時間 |
SONY | Gシリーズ | SDXC | 300MB/s | 299MB/s | 64GB | ∞秒 | 0秒 | 2.6秒 | 4.5秒 |
SanDisk | Extreme | SDXC | 150MB/s | 60MB/s | 64GB | 4.1秒 | 4.1秒 | 2.5秒 | 10.2秒 |
Kingston | CANVAS Go! Plus | SDXC | 170MB/s | 70MB/s | 64GB | 4.1秒 | 4.1秒 | 2.3秒 | 10.3秒 |
Team | ELITE | SDXC | 95MB/s | 45MB/s | 64GB | 3.1秒 | 8.7秒 | 2.3秒 | 20.5秒 |
Lexar | なし | SDHC | 不明 | 不明 | 8GB | 3.2秒 | 32.3秒 | 2.2秒 | 1分19秒 |
連写をしていくと、まずα7IVのカメラ内のバッファにデータが溜まっていくため、カードのスピードに関わらず連写時間はある程度確保できています。
バッファが一杯になると、カードへの書き込みが始まりバッファが空くまで次の高速連写は待たされることになります。
結果としては、UHS-IIのソニーの速さが際立っています。
UHS-Iのサンディスクとキングストンも健闘しています。
JPEG+RAWは書き込みに10秒待たされますが、よっぽどの連写をする機会が無い限り実用上はそこまで問題ないと感じました。
一方、Team製はスピードクラス等は上記2つと同じ数字ですが、実施の書き込み時間は2倍かかり、ストレスを感じそうです。スピードクラスだけでは実際の実力は比較できない、ということが分かりました。
ちなみに、この3枚は書き込み中も、連写速度は相当落ちますが(サンディスクとキングストンが秒2コマくらい、Teamが秒1コマくらい)一応撮影を続けることが出来ました。
最後のLexar製は、JPEGの連写でも30秒待たされ、大変ストレスに感じました。書き込み中はシャッターを押し続けても完全に撮影が止まるため、シャッターチャンスも逃してしまいます。α7IVでの連写で使うのは厳しそうです。
最近のカメラはAF性能も上がって動体撮影が気軽にできるようになっています。連写に適したV30以上をおすすめします。
動画規格別の使用可否
ソニーのミラーレスカメラα7IVは、動画品質別に5つの動画規格を持っています。その規格ごとに使用できるカードのビデオスピードクラスが規定されています。
動画規格と使用できるカードの対応は次の通りです。
<通常動画モードでの使用可否>
SDカード | 動画規格 | |||||||||
メーカー | ブランド | タイプ | 最大読込速度 | 最大書込速度 | 容量 | XAVC S HD | XAVC S 4K | XAVC HS 4K | XAVC S-I HD | XAVC S-I 4K |
SONY | Gシリーズ | SDXC | 300MB/s | 299MB/s | 64GB | 〇 | 〇 | 〇 | ×(※) | ×(※) |
SanDisk | Extreme | SDXC | 150MB/s | 60MB/s | 64GB | 〇 | 〇 | 〇 | × | × |
Kingston | CANVAS Go! Plus | SDXC | 170MB/s | 70MB/s | 64GB | 〇 | 〇 | 〇 | × | × |
Team | ELITE | SDXC | 95MB/s | 45MB/s | 64GB | 〇 | 〇 | 〇 | × | × |
Lexar | なし | SDHC | 不明 | 不明 | 8GB | 〇 | × | × | × | × |
V10 | V30 | V30 | V90 | V90 |
(※)ソニーのGシリーズはビデオスピードクラス規定前製品のためV30相当でしか使えなかったが、後継のG ToughシリーズはV90のため、すべて〇になる見込み
HD動画であれば、V10でも使えますが、4K動画はV30以上でしか撮れません。また、高品質なXAVC S-I規格ではV90でしか撮れないということも分かります。
4K動画を日常的に撮る方はまだ少ないかもしれませんが、場面によっては4Kの高品質で残したい場合もあると思います。そのため、動画用途でもV30以上をおすすめします。
3.結論:64GB・V30以上のSDカードがおすすめ
以上の検証結果を踏まえての結論です。
容量は、個人的には64GBが使い勝手がいいと感じていますが、データ整理をこまめにしたくない、4K動画の長時間録画をする、という方はもっと大容量のほうがいいでしょう。
分かりにくいSDカードの規格ですが、サイズ、容量、スピードの3つがあり、カメラで使う場合は次の3つを考慮して選ぶとまず間違いがない、ということを覚えていただければと思います。
4.まとめ
この記事では、実際のスピードの検証結果を交えながら次の3つについてお伝えしました。
- SDカードの仕様
- SDカードの選び方
- ソニーα7IVにおすすめのSDカード
ご自分のカメラの仕様や用途がはっきりしている方は、より詳しく比較して検討されるといいでしょう。
SDカード以外も含めたメモリーカードの規格を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
このほかにも、当ブログではα7IVを中心としたカメラ機材の記事が多数ございます。ぜひ併せてご覧ください。