デジカメのメモリーカードは様々な種類がありますが、それぞれどんな特徴があり、どんな背景で作られたのか、なかなか知る機会がありませんよね。
SDカードくらいは良く使われているのでなんとなくわかる人も多いと思いますが、それ以外のCFastやXQD、CFexpressなどのメモリーの種類や特徴はあまり知られていないんじゃないかと思います。
そこで今回は、デジカメのメモリーカードの変遷を振り返りながら、その種類と特徴をまとめてみました。
それでは、カメラ歴15年、フォトマスター1級のしちみがお送りします。
1.デジカメで使われてきたメモリーカードの種類と変遷
デジカメで歴代使われてきた、メモリーカードの種類をまとめてみました。
容量と速度や主に使用されてきた時期についても一緒にまとめます。
この中で、現在主流のもの(新機種で採用されているもの)は、次の2つです。
・SDカード
・CFexpress
かつて採用されており現在でも生産されているものは、次の3つです。
・コンパクトフラッシュ
・XQD
・Cfast
・メモリースティック
かつて採用されていたが、現在生産されていないものが、最後の2つです。
・スマートメディア
・xDピクチャー
2.デジカメのメモリーカードの違い詳細
それぞれのメモリーカードの特長や選ぶ際の注意点などを述べていきます。
2-1.SDカード
現在最も普及しているメモリーカードです。
1999年にパナソニック、サンディスク、東芝の3社が中心となり発表されました。
当時メモリーカード業界はすでに様々な種類が乱立しており、SDカードは後発だったのですが、キヤノンやニコンといった主要メーカーが採用したことにより一気に普及しました。
また、携帯電話などモバイル機器に採用されたことも大きな後押しになったようです。
現在最も入手しやすく価格も安く扱いやすいのですが、転送速度に上限があるため、最近のデータ量の拡大に伴い、そのうち性能の限界が来ると考えられています。
そこで、SDカードに替わる次世代のカードが模索されています。
その筆頭は後で述べるCFexpressです。
SDカードは、サイズによって次の3種類があります。
現在、miniはほとんど使われておらず、流通しているのはSDとmicro SDの2種類となっています。
また、記憶容量によっても次の3種類あります。
SDカードを購入する際は、お使いのカメラがどのタイプに対応しているかを確認してから購入しましょう。
SDカードは他にも転送速度などでいくつかの規格が存在するのですが、すべてをここで書くと長くなってしまうため、別の記事で紹介したいと思います。
2-2.コンパクトフラッシュ
コンパクトフラッシュは1994年という最も早い時期に、サンディスクが中心となって発表された規格です。
コネクタの仕様などはPCの外部記憶媒体としての仕様をそのまま引き継いでいます。
SDに比べるとサイズが大きいため、比較的大型の一眼レフカメラなどで採用されてきました。
デジカメ最初期から長く使われてきた規格ですが、やはり通信速度に限界があり、2010年ごろから次の規格が模索されていました。
そしてその役割はXQDとCFastに引き継がれていきます。
2-3.XQD
2010年に、サンディスク、ソニー、ニコンの3社が発表した規格です。
高性能ビデオカメラ、スチルカメラで使われることをターゲットに開発されました。
コンパクトフラッシュより通信速度は大幅に早くなり、サイズも若干小さくなっています。
主にプロが使うフラッグシップカメラで採用されてきました。
形状が異なるため、コンパクトフラッシュや後述のCFastとは互換性がありません。
一方、最新のCFexpressとはカードの形状が全く同じため、CFexpress対応機器ではXQDが使えることが多いです。
逆にXQD対応機器では基本的にCFexpressは使えません。(一部ニコンZ6/Z7などファームアップで使えるようになる機種もあります。)
2-4.CFast
2008年にコンパクトフラッシュをつくったCFA(Compact Flash Association)から発表された規格です。
本体形状はコンパクトフラッシュと同じですが、接続端子形状が異なるため、コンパクトフラッシュとの互換性はありません。
通信速度は大幅に向上したので、フラッグシップカメラで採用されました。
ただし、その数はあまり多くなかった(キヤノンとニコンの一部機種のみ)ようです。
2-5.CFexpress
データの大容量、高速化に対応する次世代規格として、最近CFAにより策定された規格です。
近年のハイエンドミラーレスカメラに採用されています。
CFexpressはサイズによって2種類あります。
Type BはXQDと全く同じサイズ・形状です。最大転送速度も1700MB/秒とSDカードの最大速度より5倍以上の速度となっています。またXQDに対しての上位互換性もあります。
一方、TypeAはSDカードより小さいのですが、最大転送速度が800MB/秒と若干遅くなります。それでもSDカードの最大速度より2倍以上速くなりますので、実用上は問題となることは無いでしょう。
現在、Type Aを採用してるのはソニーのみで、その他のカメラメーカーはType Bを採用しています。
小型のサイズか、速度か、どちらを優先するかというメーカーの考え方の違いでしょう。
CFexpressはまだ普及途中なので価格も高いですが、将来的にはSDカードに置き換わることも考えられます。
普及が進むと価格も下がってきて入手性や使い勝手は良くなるでしょう。
2-6.メモリースティック
ソニーが1997年という早い時期に発表した規格です。
当初は、ソニーだけでなくカシオ、サンヨー、シャープなど様々なメーカーの機器に採用されていたのですが、ある時期からSDカードにシェアを奪われ始め、最後はソニー製品の専用のメモリーカードとなってしまいました。
ソニーもしばらく、メモリースティックとSDカードが併用できるデュアルスロットを採用していたのですが、2011年ごろからはSDカードのみ対応の製品を出し始め、現在は事実上メモリースティックは役目を終えたと言えます。
現在でもソニーがカードの生産自体は続けているようです。
サイズによって、メモリースティック/メモリースティック Duo/メモリースティック マイクロの3種類がありました。
2-7.スマートメディア
1995年という早い時期に、東芝、オリンパス、富士フイルムなどが中心となって策定した仕様です。
厚みが1mm以下と大変薄いことが特長でした。
当初コンパクトデジカメに主に採用されましたが、2000年前後に、東芝がSDカード、オリンパスと富士フイルムは後述のxDピクチャーに開発の軸を移行したため、スマートメディアは短期間で終焉を迎えました。
2-8.xDピクチャー
オリンパスと富士フイルムが2002年に発表した規格です。
当時SDカードの普及が始まっていたため、xDピクチャーを採用するメーカーが増えず、オリンパスと富士フイルム2社の製品のみの採用に限定されました。
そのため、コストも下がらず、SDカードの普及に押され、短命に終わりました。
3.まとめ
この記事ではデジカメに使われるメモリーカードの種類とその歴史をお伝えしました。
技術的には記憶容量と通信速度の増大に伴って進化してきましたが、改めて歴史を振り返ると各メーカーの思惑やビジネス上の戦略も垣間見えて興味深いですね。
今後は現在最も主流のSDカードについて、より詳しく仕様を説明し、たくさんある中からどれを選べばいいかをお伝えしたいと思います。
↓SDカードの詳しい解説はこちらの記事へ