現在デジタルカメラをお使いの人でも、フイルムカメラに興味がある、という方は多いのではないでしょうか。特に最近はフイルムカメラを始める人が増えており、中古フイルムカメラの価格が上昇するなど、ブーム再燃の兆しがあります。
私はというと、子供~学生時代にコンパクトカメラやレンズ付きフイルムを使っていましたが、本格的にカメラを始めたのはデジタル一眼レフからでした。
最近になってデジタルカメラと対局にあるフイルムカメラを再度使ってみたいという思いに駆られ、この度フイルムカメラのニコンF3を入手しました。
ニコンF3を1か月ほど使用し、フイルム2本分撮ってみたので、レビューしてみます。
それでは、カメラ歴15年、フォトマスター1級のしちみがお送りします。
1.フイルムカメラ ニコンF3とは?
ニコンF3の概要はこちらです。
メーカー:ニコン
発売期間:1980年~2000年
発売当時価格:F3ボディのみが139,000円、50mm F1.4付きが175,000円
仕様:ニコンFマウント
AE(自動露出)機能付き35mmフイルム一眼レフカメラ
電子制御シャッター
特長:プロフォトグラファー向けに高機能・高信頼性を売りにして提供された一眼レフカメラシリーズ「ニコンF一桁機」の3代目。
初めて絞り優先AE機能をF一桁機に載せたことで話題となったカメラです。
それまでは、プロの現場ではすべて露出はユーザーが合わせ、電子制御なくメカだけでシャッターが切れることが当たり前でした。カメラ内のAE電子制御に頼ることは懐疑的な目もありましたが、当時の自動化の流れに乗ってF3に搭載され受け入れられました。
スタイリッシュなデザインと堅牢性もF3の人気の理由でした。
その後ニコンのカメラにアクセントとして必ず配置される赤色の加飾が付けられたのがこのF3が発端です。
1980年~2000年まで20年間も発売されていたという驚くべきロングセラーカメラです。
今回はこのF3とレンズAi Nikkor 50mm f/1.4Sを使う機会があったのでレビューします。
2.ニコンF3のレビュー
外観・操作性
まず正面図
ニコンらしい堅牢性と赤色の線が目立つスタイリッシュ感が同居したおしゃれなデザインですね。
今と違ってNikonの文字が斜体になっていないのも新鮮です。
操作系としては必要なものはしっかりあって、無駄のない必要十分な機能を備えています。
最近のミラーレスカメラを使う感覚になれるとグリップが浅く不安に感じますが、レンズも小さい時代で今みたいに重くなかったのでこれくらいで十分だったのでしょう。
背面です。
ファインダーのぞき穴の丸い形がおしゃれです。
フイルムカバーにある枠には、フイルムのパッケージを切り取って入れておきます。
ISO値など自分で設定してカメラに伝える必要があるので、今何のフイルムを使っているか分かるようにするためです。
フイルムカバーを開けたところです。
シャッター幕、フイルム送りレールが見えます。大変綺麗な状態です。
フイルムの交換は最初は不安ですが一度行ってしまえば簡単で、その後はすぐにできるようになります。
シャッター巻き上げ時にしっかり左肩の巻き戻しクランクが回ることを確認すれば問題ないです。
回っていなければしっかり巻けていないので開けて確認しましょう。
上からの画像です。
シャッターダイヤルが見えますが、最高速1/2000は当時ではハイスペックでした。
現在は最低限1/8000がデフォルトですね。
フイルムの巻き上げレバーとシャッターボタンが同軸になっているのはF3の特長です。
巻き上げレバーの感触は軽すぎず重すぎず絶妙で、無駄に巻き上げたくなってしまいます。
シャッターボタンを押すとミラーアップと横走りフォーカルプレーンシャッタの駆動の衝撃がダイレクトに伝わってきて、写真を撮っている感触を力強く感じます。
ここはミラーレスカメラの特に電子シャッターとは全く異なる感覚です。
レンズは標準レンズのAi Nikkor 50mm f/1.4Sです。
F3に一番似合うレンズです。
同じ50mmF1.4でも最近のミラーレスカメラのレンズとは全く大きさが異なり、大変コンパクトです。ただし、ほとんどのパーツが金属でできておりサイズに比べるとずっしりとした重さを感じます。
凝縮感があり、リングなどの質感も心地よいです。
最後にα7IVとF3を比べてみました。
α7IVもソニーのミラーレス機の中では大きいほうだと感じていたのですが、正面から見るとF3も同じくらいの大きさなんですね。
フイルムカメラのF3はもう少し小さい印象でしたので意外でした。
ちなみに重さ(ボディとバッテリのみ)は、F3のほうが重いです。
α7IV:658g < F3:715g
これも意外でした。
2021年のカメラと1980年のカメラ。中身は全く違うものですが、見た目はそう変わらずF3は全く古さを感じさせないデザインです。当時から洗練されたカメラだったことが改めて分かります。
撮ってみた
いよいよフイルムを入れて撮ってみます。
フイルムは値段も安くISO200で使いやすいと好評のこちらを使用しました。
ここから実際にF3で撮ってみた写真を並べてみます。
ピントがだいぶ奥に行ってしまい光がぼわっとにじむような特徴的な前ボケが見て取れます。
これもピントが少し奥にいってしまいソフトなフレアっぽい前ボケが印象的
水の流れと濡れた木の質感を温かく再現しています。デジタルカメラではなかなか表現できない、これぞフイルムという写り。
解像感を見たくて平面の細かい被写体を撮りました。ピントが合っていると隅までしっかり解像していますね。意外でした。
なんでもない風景が味のある雰囲気に写ります。
デジタルだと特に撮ろうと思わない味気ない被写体でもフイルムだと撮ってみたらどうなるだろう、という好奇心が湧きます。
逆光気味ですが空と煙が白飛びすることなく、建物が黒飛びすることなく、階調豊かです。
フイルムの粒子感が見えてノスタルジックな写りになりました。
こちらは朝日が強かったため空は白飛びしていますが、フレアっぽくなることなく街並みは見せたかった色でしっかり再現できています。
奥の光と手前の暗がりで明暗差が大きく写っているか不安でしたが、奥も手前もしっかり被写体が認識できて、イメージに近い写真でした。
桜島も少しノスタルジック
山肌のゴツゴツ感は分かりますが、さすがに手前の森の解像感は流れていました。
このあたりデジタルとはやはり違いますね。でも全体として見せたかったところは見える画です。
こういう昭和を感じる被写体がフイルムに合います。
曇りだったのでちょっとのっぺりとした色になってしまいました。
都会の寒々しさは伝わると思います。
曇りの間から漏れ出す光の階調がしっかり見えますね。
逆光気味でも黒潰れしにくく建物の様子が分かります。
強い逆行で撮ってみました。
全体的にフレアで見えなくなることもなく、味のあるゴーストが出て、こういう表現もできることが分かりました。
フイルムで撮ってみて、特にデジタルと違うと感じたのは、次の点です。
- フイルムの粒子が見える(解像感は落ちるが、味のあるノスタルジックな雰囲気になる)
- 光の階調が豊か(明暗差のある被写体に強い)
- (使うフイルムの特性にもよるが)色が淡い
- 彩度が低い
これが良い、悪いということではなく、デジタルとは違うフイルムの味と捉え、写真表現の一つとして使っていきたいと思いました。
3.まとめ
本記事では、ニコンF3のカメラの構造的な特徴と、撮れる写真についてご紹介しました。
久しぶりに現像したフイルム写真を見て最初に感じたのは、デジタルとは全く違う何とも言えない味のある写真だということでした。
これからは、デジタルカメラとフイルムカメラを使い分けて写真を楽しんでいこうと思います。
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興味が出てきたので、他のフイルムカメラも使ってみたいと思います。
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