Eマウントの単焦点レンズは写りとコンパクトさで評判の高いレンズが多いです。その中でも今回は手頃な価格で入手しやすい標準単焦点レンズ 「FE 35mm F1.8(SEL35F18F)」をレビューします。
ミラーレス一眼を手に入れキットレンズでしばらく撮っていると、「もっとボケ感のある画が撮りたい」と気になり始めますよね。
そんなあなたが初めての単焦点レンズを探しているなら、イチオシなのがこの「FE 35mm F1.8(SEL35F18F)」です。
最初にこのレンズのメリット・デメリットを正直にまとめます。
メリット | デメリット |
・スナップ・ポートレートに最適なスペック ・つけっぱなしにしたくなる小型軽量さ ・無印レンズなのに抜群の写り ・寄れるレンズ ・金属外装で作りがしっかりしている ・必要十分な操作部材 | ・操作部材が少ない ・変化がほしくなるレンズ |
それでは、カメラ歴15年でフォトマスター1級、しちみがお送りします。
1.【SEL35F18F】FE 35mm F1.8の仕様と特徴
名称 | FE 35mm F1.8 |
型名 | SEL35F18F |
対応フォーマット | フルサイズ |
焦点距離 | 35mm |
レンズ構成 | 9-11 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
開放絞り | F1.8 |
最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | 0.22m |
最大撮影倍率 | 0.24倍 |
手ブレ補正機構 | ー |
フィルター径 | Φ55mm |
サイズ | Φ65.6 × 73mm |
重量 | 約280g |
発売 | 2019年8月 |
2.【SEL35F18F】FE 35mm F1.8のメリット
ここからは実際に使って感じたこのレンズのメリットをお伝えします。
FE 35mm F1.8(SEL35F18F)のメリットは次の6つです。
詳しく解説します。
スナップ・ポートレートに最適なスペック
35mmF1.8というスペックは、スナップ・ポートレートなど日常使いに最適です。
35mmは人間が自然にものを見るときの視野角に一番近い画角と言われています。見たままの風景を違和感なく切り取ることができていいです。
さらにAPSCクロップすると52.5mmとなり、よく使われる標準域をこの1本で賄えます。大変汎用性の高い焦点距離です。
また、F1.8というF値は、ズームレンズにはない明るさで、単焦点独特のボケも楽しめます。
それでいてF1.4やF1.2などの大口径よりピントが合わせやすく、レンズ自体もコンパクトにできており、使いやすさも兼ね備えています。
まさに初心者が初めての単焦点レンズに選ぶ1本に最適なレンズです。
つけっぱなしにしたくなる小型軽量さ
このレンズの大きな特徴は小型軽量であることです。
ニコンやキヤノンの同じスペックのレンズと比べてみます。
ソニー FE 35mm F1.8 | ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.8 S | キヤノン RF35mm F1.8 MACRO IS STM | |
サイズ | Φ65.6 × 73mm | Φ73 × 86mm | Φ74.4 × 62.8mm |
重量 | 280g | 370g | 305g |
唯一の200g台と最も軽く、径も細いことが分かります。
α7IVにつけても938gと1kgを切る重さで、つけっぱなしにして持ち運ぶことが苦になりません。
日頃からカメラを持ち歩いて、日常のワンシーンを残すスナップ用途にベストマッチなレンズです。
無印レンズなのに抜群の写り
ソニーの純正レンズには、Gレンズや、G Masterレンズ、ZEISSレンズなどいくつか品質の高いブランドがあります。
このFE 35mm F1.8は特にブランド名のついていない無印レンズと呼ばれています。ブランドを冠していないため価格が安く抑えられています。
ところが、写りに関しては、Gレンズに匹敵すると言われるほどの高い描写性能を持っています。
解像感と背景のボケの対比で被写体が浮かび上がるような単焦点独特の写りをします。
これまでズームレンズしか使ったことのない人が初めて使うと、あっと息をのむことでしょう。
単焦点でしか味わえない感動を、ぜひこのレンズから味わっていただきたいです。
寄れるレンズ
さらにこのレンズは日常使いをより便利にする近接撮影性能も高いです。
なんと22cmまで寄って撮れ、被写体を0.24倍まで拡大できます。
22cmまで近づけると、手元の料理などを撮る際も離れることなく撮ることができ、使い勝手は抜群です。
花や虫などのマクロ的な撮影もある程度こなせます。
このレンズ1本で、気になった幅広い被写体を撮ることができます。
金属外装で作りがしっかりしている
無印レンズですが外装が金属でできており、手に持った時の高級感があります。
シンプルでマットな見た目も高級感を演出しています。
フォーカスリングには滑り止めのゴムはついていませんが、回し心地も良く、高い質感を感じます。
手頃な価格の無印レンズと思えないしっかりとした作りで、所有する満足感を味わえます。
必要十分な操作部材
操作部材はフォーカスリング、フォーカスホールドボタン、フォーカス切り替えスイッチと、必要十分な部材を備えています。
特に、フォーカスホールドボタンは設定で様々な機能を割り当てることができるため、自分に合った使いやすさにカスタマイズできることが利点です。
特におすすめはAPSCクロップ機能を割り当てることです。
35mmと52.5mmの常用の二つの画角を瞬時に切り替えることができるようになるため、つけっぱなしレンズとしての使いやすさがぐっと上がります。
APSCクロップについて詳しくは下記の記事をご覧ください。
3.【SEL35F18F】FE 35mm F1.8のデメリット
ここからは実際に使って感じたこのレンズのデメリットをお伝えします。
FE 35mm F1.8(SEL35F18F)のデメリットは次の2つです。
詳しく解説します。
変化がほしくなるレンズ
35mmという画角は普段人が見ている画角に一番近く自然な画が撮れる、と言いましたが、裏を返せば見た目以上に変化をつけて撮ることが難しいレンズとも言えます。
超広角や超望遠レンズなどは、絶対に人間の目では見えない範囲を撮ることができるため、それだけでアッと驚く写真が撮れます。35mmは普通に撮ると、悪く言えばありきたりの写真になってしまいます。
構図にこだわったりボケを生かしたりと、写真を撮るのに一工夫加える必要があるため、写真の上達のためには最適なレンズとも言われています。
何気なく撮って日常を見た目のままに残すか、自分なりの工夫を加えて見た目以上に印象的に残すか、それは撮る人次第です。
レンズ沼への入り口
このレンズは初心者の1本目の単焦点にオススメといいましたが、このレンズ1本だけで納まる人は少ないです。
王道の35mmで撮りなれてくると、もっと広角に撮りたい、もっと望遠で撮りたい、もっと大口径でボケを生かして撮りたいと、次の欲求が出てきます。
そして、いつのまにか次の1本をどれにするか調べ始めていることに気付くでしょう。
それがカメラの楽しみではあるのですが、このレンズを手にするとその沼に足を踏み入れることになります。
ただ、それがカメラ。それが楽しいところなのです。覚悟はいいですか?なんて。
4.【SEL35F18F】 FE 35mm F1.8はこんな人におすすめ
以上のメリットデメリットを踏まえてFE 35mm F1.8(SEL35F18F)がどんな人におすすめかお伝えします。
とにかく初心者の初めての単焦点レンズにおすすめの1本です。
コンパクトさオートフォーカスの早さから動画にも使いやすいレンズです。
5.【SEL35F18F】FE 35mm F1.8の作例
FE 35mm F1.8(SEL35F18F)で撮った作例をご紹介します。
6.まとめ:SEL35F18Fはお手頃サイズ・価格と汎用性で初めての単焦点におすすめ
この記事では
- FE 35mm F1.8(SEL35F18F)の特徴
- FE 35mm F1.8(SEL35F18F)を実際に使って分かったメリットデメリット
をお伝えしました。
最後にもう一度このレンズのメリットデメリットをまとめます。
メリット | デメリット |
・スナップ・ポートレートに最適なスペック ・つけっぱなしにしたくなる小型軽量さ ・無印レンズなのに抜群の写り ・寄れるレンズ ・金属外装で作りがしっかりしている ・必要十分な操作部材 | ・操作部材が少ない ・変化がほしくなるレンズ |
キットのズームレンズでもそこそこ楽しめているけど、せっかくレンズ交換式のカメラを買ったから何か今までと違うレンズを使ってみたいと考え始めたあなたに、ぴたりとはまるに違いない1本です。
このレンズで、基本の35mmの画角に撮りなれてから、撮りたいものに合わせて、次のレンズを選んでいくと後悔が少ないでしょう。
まず初めての1本にFE 35mm F1.8をおすすめします。もちろん、これまでいろいろなレンズを使ってきたけど、息を抜いて気軽に撮ってみたいという人にもおすすめです。
当ブログでは、他にもソニーEマウント(フルサイズ)のレンズを紹介しています。
ズームレンズ(広角・標準・望遠)、単焦点レンズ(広角・標準・マクロ)からコスパのいい神レンズをそれぞれご紹介しているので、撮影の目的に合ったレンズにきっと出会えます。