カメラやレンズのマウントについて、徹底解説します。
それでは、カメラ歴17年、フォトマスター1級のしちみがお送りします。
1.カメラ・レンズのマウントとは?
一眼レフカメラやミラーレスカメラは、カメラボディとレンズを装着して使用します。
マウントとは、カメラボディと交換レンズの結合に関わる界面のすべての規格や規定のことです。
狭義にはこのカメラボディと交換レンズの結合機構や結合部品のことも言います。
「互換性」と言い換えてもいいでしょう。
カメラ関連製品はこのマウントの互換性を軸に開発展開されるため、そのマウントで使える商品群全体のことを、「**マウントシステム」ということが多いです。
カメラを買う際には、同じマウントのカメラボディやレンズがどんな商品展開をしているか下調べしておきたいです
マウント規格はひとつのメーカーが定める場合もあれば、複数メーカーで一緒に定める場合もあります。
マウント規格が同じであれば、メーカーが異なっても互換性があります。
<参考>
- クローズドマウント:規格を公開しておらず1社独占しているマウントのこと
- オープンマウント:規格を公開しており他社の互換レンズの参入を許容しているマウント(その場合でもボディ開発は許容していない)
- ユニバーサルマウント:もともと複数社で共同開発し、複数社からボディも発売されている
また、複数のセンサフォーマットに対応するマウントもあれば、一つのセンサフォーマットだけに対応しているマウントもあります。
もっと詳しく見ていきます。
カメラボディと交換レンズの結合機構・規格
カメラボディと交換レンズの物理的な結合機構について説明します。
カメラボディの穴との交換レンズをどうくっつけるかということで、機構別に3つのタイプがあります。
それぞれ説明します。
バヨネット式マウント
バヨネット式とは、カメラボディの穴と、交換レンズにそれぞれ爪を設け、角度を合わせて差し込んだ後に回転させることでお互いの爪どうしが掛かり、外れなくなる機構のことです。
最近のデジタルカメラのマウントはほとんどこのタイプです。
メリット | デメリット |
・機構がシンプル ・着脱しやすい | ・ボディかレンズのどちらかを回転させて取り付ける必要があるため、大きく重いボディやレンズであれば着脱は大変 |
スピゴット式マウント
スピゴット式とは、ボディとレンズをまっすぐ結合することができ、リング状の別部材を回転させて締め付けることで爪を掛からせる機構のことです。
爪が掛かって外れなくなる点はバヨネット式と同じです。
業務用のムービーカメラなどに使われています。
メリット | デメリット |
・ボディもレンズも回転させることなく着脱ができる | ・回転させる別部材がボディにとりつくため、複雑な機構となり、カメラボディが大きく重くなる |
ねじ込み式マウント
ねじこみ式とは、取り付け部がねじになっている機構のことです。
カメラが多機能化する過程で廃れていきました。現行カメラではほとんど使われていません。
メリット | デメリット |
・機構としては最もシンプル | ・レンズを何度も回転させてねじ込む必要があり取り付けに手間がかかる ・ 電子接点のスペースが取りにくい |
マウントの規定は結合機構だけではありません。
マウント内径は大きい方が光を通しやすく光学設計がしやすくなるのですが、その分カメラサイズが大きくなります。
フランジバック(マウント接合面から撮像面までの距離)も長くしたり短くすることによるそれぞれメリットデメリットがあるため、メーカー各社の設計方針が表れる規格になり、比べて未定考察すると面白いです。
カメラボディと交換レンズの通信規格
マウントの規格は、メカ的な規格だけではなく電子接点を通しての通信規格もあります。
この規格があるからこそ、ボディとレンズが適切に通信でき、素早いAFや絞りの操作、手振れ補正などの機能が実現できています。
まさに、マウントシステムの機能や性能を決める根幹となる規格となります。
マウントアダプターとは
マウントアダプターとは、異なるマウント間のボディとレンズが使えるように間に装着するアダプターのことです。
原理的にフランジバックが短いボディにフランジバックが長いレンズをつけることしかできません。
他社マウント間のマウントアダプターはカメラの純正メーカーが公式に出すことはありません。
3rd party製による非純正のため、動作が保証されていない場合が多いです。
最低限の機能は使用できますが、性能面で制約が出ることがあります。使う場合はそれを承知の上で使用しましょう。
一方、同一メーカー内マウントでのマウントアダプターは、純正メーカーが出していることもあります。(例えば、ニコンのFマウントレンズ-Zマウントボディの変換アダプター)
その場合は一部制限付きにはなりますが、メーカーが動作を保証していることが多いです。
2.マウントの種類一覧
代表的なマウントの種類、採用カメラメーカー、内径、フランジバック数値、現時点の発売されているカメラ、レンズ本数をまとめました。
マウント名 | 採用カメラ メーカー | 発表年 | 対応 フォーマット | 対応カメラ | マウント 内径 | フランジ バック長 | カメラ本数(※1) | レンズ本数(※2) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Fマウント | ニコン | 1959年 | フルサイズ、APSC | 一眼レフ | 47mm | 46.5mm | 84 | 426 |
Zマウント | ニコン | 2018年 | フルサイズ、APSC | ミラーレス | 55mm | 16mm | 26 | 149 |
EFマウント | キヤノン | 1987年 | フルサイズ | 一眼レフ | 54mm | 44mm | 89 | 383 |
EF-Mマウント | キヤノン | 2012年 | APSC | ミラーレス | 47mm | 18mm | 45 | 99 |
RFマウント | キヤノン | 2018年 | フルサイズ | ミラーレス | 50.6mm | 20mm | 27 | 120 |
Aマウント | ソニー(コニカミノルタ) | 1985年 | フルサイズ、APSC | 一眼レフ | 50mm | 44.5mm | 17 | 118 |
Eマウント | ソニー | 2010年 | フルサイズ、APSC | ミラーレス | 46.1mm | 18mm | 58 | 377 |
Lマウント | ライカ、パナソニック、シグマ | 2014年 | フルサイズ、APSC | ミラーレス | 51mm | 20mm | 31 | 143 |
マイクロフォーサーズマウント | OMデジタル(オリンパス)、パナソニックなど | 2008年 | マイクロフォーサーズ | ミラーレス | 40mm | 19.25mm | 102 | 253 |
Xマウント | 富士フイルム | 2012年 | APSC | ミラーレス | 43.5mm | 17.7mm | 30 | 214 |
Gマウント | 富士フイルム | 2016年 | 中判 | ミラーレス | 65mm | 26.7mm | 5 | 23 |
Kマウント | ペンタックス | 1975年 | フルサイズ、APSC | 一眼レフ | 48mm | 45.46mm | 33 | 168 |
ライカMマウント | ライカなど | 1954年 | フルサイズ | レンジファインダー | 43.9mm | 27.8mm | 10 | 93 |
ニコン1マウント | ニコン | 2011年 | 1インチ | ミラーレス | 36mm | 17mm | 15 | 14 |
Qマウント | ペンタックス | 2011年 | 1/2.3インチ | ミラーレス | 29mm | 9.2mm | 3 | 4 |
(※1)2023/7/10時点のkakaku.comに登録されているカメラ本数、レンズキットやカラーバリエーションも含む
(※2)2023/7/10時点のkakaku.comに登録されているレンズ本数、3rd party製も含む
マウント名 | 採用カメラ メーカー | 発表年 | 対応 フォーマット | 対応カメラ | マウント 内径 | フランジ バック長 | カメラ本数(※1) | レンズ本数(※2) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Fマウント | ニコン | 1959年 | フルサイズ、APSC | 一眼レフ | 47mm | 46.5mm | 75 | 368 |
Zマウント | ニコン | 2018年 | フルサイズ、APSC | ミラーレス | 55mm | 16mm | 22 | 75 |
EFマウント | キヤノン | 1987年 | フルサイズ | 一眼レフ | 54mm | 44mm | 76 | 338 |
EF-Mマウント | キヤノン | 2012年 | APSC | ミラーレス | 47mm | 18mm | 52 | 82 |
RFマウント | キヤノン | 2018年 | フルサイズ | ミラーレス | 50.6mm | 20mm | 13 | 58 |
Aマウント | ソニー(コニカミノルタ) | 1985年 | フルサイズ、APSC | 一眼レフ | 50mm | 44.5mm | 10 | 111 |
Eマウント | ソニー | 2010年 | フルサイズ、APSC | ミラーレス | 46.1mm | 18mm | 58 | 300 |
Lマウント | ライカ、パナソニック、シグマ | 2014年 | フルサイズ、APSC | ミラーレス | 51mm | 20mm | 21 | 93 |
マイクロフォーサーズマウント | OMデジタル(オリンパス)、パナソニックなど | 2008年 | マイクロフォーサーズ | ミラーレス | 40mm | 19.25mm | 121 | 231 |
Xマウント | 富士フイルム | 2012年 | APSC | ミラーレス | 43.5mm | 17.7mm | 43 | 168 |
Gマウント | 富士フイルム | 2016年 | 中判 | ミラーレス | 65mm | 26.7mm | 6 | 17 |
Kマウント | ペンタックス | 1975年 | フルサイズ、APSC | 一眼レフ | 48mm | 45.46mm | 37 | 162 |
ライカMマウント | ライカなど | 1954年 | フルサイズ | レンジファインダー | 43.9mm | 27.8mm | 10 | 71 |
ニコン1マウント | ニコン | 2011年 | 1インチ | ミラーレス | 36mm | 17mm | 21 | 15 |
Qマウント | ペンタックス | 2011年 | 1/2.3インチ | ミラーレス | 29mm | 9.2mm | 9 | 7 |
(※1)2021/12/8時点のkakaku.comに登録されているカメラ本数、レンズキットやカラーバリエーションも含む
(※2)2021/12/8時点のkakaku.comに登録されているレンズ本数、3rd party製も含む
3.まとめ
本記事では、
・カメラマウントとは何か
・どんなマウントの種類があるか
を徹底解説しました。
マウントはカメラを始める上でぜひ理解しておきたい言葉・概念です。なぜならボディとレンズの互換性を決める規格だからです。
持っているカメラボディと違うマウントのレンズを購入してしまうと使用できません。また、マウントによって様々な特徴や勢力があります。
普段カメラを使っていく上では知る必要がないかもしれませんが、カメラを知っていく上ではぜひ知っておきたい知識です。
こちらの記事では、カメラ初心者におすすめの安くてコスパ抜群のカメラをご紹介しています。主要マウントのメーカーから選りすぐりましたので、ぜひ併せてご覧ください。
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